2009年11月30日
読書 ココロが壊れないための「精神分析論」
「行動と心」は必ずしも伴っていない。
というお話でした。
真面目な人、親孝行な人、礼儀正しい人、明るい人など社会的認知として「賞賛」される人たちの社会的逸脱行為に関する考察がされている。
なぜ!?どうして!?という一般社会の疑問を、著者也に述べている一冊。
著者曰く、人類の大発見は「無意識を見つけ出した事」と冒頭に有る。
この無意識が曲者らしいというお話が、丁寧に書かれている。
丁寧なので話としてはくどい位に繰り返し似たような話ばかりが並ぶ。
でも、どっかで違和感を感じるのは、客観的に書いているつもりだろうが、主観的な感じで書かれているように感じるからだろうか?
あちこちの精神科医、心理学者、精神分析者らの言葉を借りて、説明を並べているが、なんとなく釈然としない。
かと言ってそれに対する反論は思いつかないのだが・・・
一応は筋が通っているように感じるからだろう。
でも、違和感を覚える。
この本には、心が大事だとある。
心というよく解らない物を尊んでいる。
感情と心は違うという。
感情はその時々の思いであり、それが心に影響するという説明と読んでいて解釈した。
なので、無理をして感情を抑制して長い間心にストレスを掛けているから、あることをきっかけに、そのストレスが放出されて、犯罪行為に向かう場合があるという説明だ。
それは、幼少期による主に母親との関係にあるらしい。父親も決して影響していないわけではないようだが、その幼少期でのパーソナリティの形成によって、人間としての精神ステップの段階を登っていけなかった事により、破綻を起こすらしい。
まぁ、古今東西、この手の話は精神論者たちの王道的論理といえよう。
まさに、「三つ子の魂百まで」である。
神経症的な人たちという説明が最終的な結論に行くように感じた。
著者自身、エレン・ランガーという心理学者の言葉を借りて、「マインドレスネス」と「マインドフルネス」という分類をして説明もしている。要は、固定観念による一方方向的な見方による判断と柔軟な思考による多角的な見方による判断ということらしい。
これが出来るか出来ないかで、随分違うと説明。
実際、そうだろうと思う。
何事にも一つの事を一つの方向でしか考えられないというのは、なにかしら問題を含む。
一つの事を別の見方をして考える事は大切だろう。
しかし、この見方もポジティブかネガティブかでかなり変化をしてくるようだ。
自己洞察が十分にできていないと、振り返りさえできず、一方的な見解になりがちになるらしい。
それが、社会に対する偏見だったり、宗教のようなカルト的行為だったり、責任転嫁などをして様々な手段を取って、自己防衛を図るそうだ。
この本、あまりに素直に読み取り過ぎると危険なように思う。
著者も、随分カットして説明して本にして居ると最後にあった。
それ程に簡単明瞭に書いてあるだけに、素直に影響されると自身へのネガティブさが増大しかねない。
自己嫌悪をしても仕方のない位の内容である。
この無意識をどうコントロールするかは、かなり難しい。
指南的な話もあるが、到底安易にはできないだろう。
自身の心の感じる事を分析するほどの冷静さと識別能力は、簡単には向上しないからだ。
よって、反復的な練習は必要だろうし、あまりくよくよ考えるくらいならしない方がいい。
本当におもしろい本ではあった。
なかなか興味深いし、的を得ている。
行動には動機があり、動機には理由があると、よく感じる内容である。
しかし、この本。
人によっては、逆にココロが壊れるかもしれないと感じるのは私だけだろうか。
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Posted by ナルナル at 11:36
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